松に鶴亀文様湯上げ

松に鶴亀文様(まつにつるかめもんよう)

婚礼の祝いと同様に、子どもの誕生祝として産湯用の湯上げや子負い帯などを仕度する「孫拵え」と称する風習が、出雲地方(島根県東部に)見られる。湯上げの意匠としては鶴亀松竹梅が多いが、本作品も松と梅を中央に据え、その周囲に鶴亀を配している。下側が薬用にも用いられる紅花で赤く染められているが、この部分で眼や口を拭うと病を防ぐとされた。紅花染めの赤色は太陽の色で生命力を表し、病を防ぐと考えられたのである。

湯上げ(ゆあげ)

湯上りの幼児を包むための方形の布で、孫拵えの一つとしてあつらえられた。出雲地方では、筒描の藍染で吉祥文様を表し片隅に紅花染を施す。藍染は虫除けの効果があるといい、紅花染は湯に浸して目を拭うと眼病予防になるとされる。

  • 松に鶴亀文様湯上げ
  • 木綿
  • 83.8㎝×62.1㎝