寳水堂コレクションについて

寳水堂コレクションは、私の父水野義之(みずのよしゆき)が失われゆく農村文化を惜しむ気持ちから生前収集したもので、民具、民芸品を中心にその収蔵は千点あまりを数えます。なかでも、筒描や襤褸(らんる)を中心とした藍染古布への愛着はひとしおで、一点一点吟味しながら集めました。藍の布を通して、機で織った人、染めた人、使った人の人生を見、愛おしいと思ったのでしょうか。

寳水堂は、東広島市豊栄町安宿(ひがしひろしましとよさかちょうあすか)で義之の曾祖父が営んだ紺屋の屋号にちなんでいます。今も安宿の庭では清冽な水が湧きあがっています。

民具は日々の暮らしのなかで工夫され、使われてきたものです。作る人、使う人、それぞれの想いがそのなかに込められています。寳水堂コレクションを通して、少しでも多くの方々が、伝えられた技術とともに日本人の心に思い至っていただけたならば幸いに存じます。

寶水堂コレクション 主宰 水野恵子